イランがイスラエルに行った史上初の直接攻撃。イスラエルがイランに「反撃で一致」との報道もある中、さらなる中東情勢の緊迫化が懸念されています。
■イラン イスラエルに初の直接攻撃
今回の攻撃にイラン国民は沸いていました。
「イスラエルに死を!」
爆音を響かせ、次々と発射されたミサイル。300以上のミサイルやドローンを使い、イランは初めてイスラエルへの直接攻撃を行いました。
エルサレム上空には、そのミサイルやドローンとみられる無数の光が降り注ぎましたが、大半はイスラエル側によって迎撃されたということです。
しかし、いくつかのミサイルは着弾し、南部の町では、少女1人が負傷したということです。この攻撃は、4月1日にイスラエルがシリアにあるイラン大使館の建物を空爆し、国外部隊の司令官らを殺害したことに対する報復措置でした。
増尾聡 記者
「攻撃から一夜明けたテルアビブですが、今はこのように飲食店やほとんどの店が通常の営業に戻っていて、広場を見ても、多くの人が街に繰り出し、平穏を取り戻しています」
ただ、市民からは不安の声も…
テルアビブ市民
「イランとの戦争は心配です。世界大戦になるのでは、と恐怖を感じています」
イスラエルの戦時内閣は14日、今後の対応を検討する会議を開催。ロイター通信によりますと、攻撃のタイミングや規模について意見がわかれているものの、反撃を行う方向で一致しているといいます。
一方、イスラエル最大の支援国であるアメリカのバイデン大統領は反撃に反対する考えを伝えたとされ、ネタニヤフ首相の判断に注目が集まっています。
今回の事態を受けて開かれた国連安保理では、イスラエルとイランがそれぞれの立場の正当性を主張しました。
イスラエル エルダン国連大使
「(イランの)攻撃はレッドラインを超えた。イスラエルは報復する権利がある」
イラン イラバニ国連大使
「イランは国際法の下、自衛権を行使するしかなかった」
日本を含むG7の首脳は緊急会議で「最も強い言葉で非難する」との声明を発表しました。
■イスラエル“反撃”の規模やタイミングは?イランへの対応協議始まる
小川彩佳キャスター:
ここでイスラエルから中継です。増尾さんお願いします。
増尾聡 中東支局長:
まずは最新情報からお伝えします。イスラエルの戦時内閣は今まさに、イランへの対応を協議する会合を開いているということです。昨日の会合ではイランに対し「どのようなタイミングで、どのような攻撃をするのか」というところで意見が分かれていたということで、そうしたことを、いま協議しているとみられます。
イスラエル中部にあるテルアビブ市内は、イランの攻撃が止んだことで日常生活が戻りましたが、市民からは「今後、どういった状況になるのかわからない」と、非常に心配の声が多く聞かれます。
戦時内閣としては「イランに反撃する」ということで一致しているので、次の最大の焦点は「攻撃の規模がどのようになるのか」といったところになります。
この規模が大きくなればなるほど、情勢が悪化するリスクを含んでいますが、国内を見てみるとネタニヤフ政権を支える右派閣僚からは、「最大限の力で反撃するべきだ」などといった過激な声が聞かれます。
市民に話を聞くと、「現在の政権は対ハマスや人質解放交渉で失敗が続いている」という不満も高まっていて、市民の視線を逸らすために政権として過激な対応に出るという可能性も捨てきれません。
世界のリーダーからは「事態をエスカレーションさせてはいけない」と釘を刺されていますが、これまでのガザ侵攻ではそうした世界の声に耳を傾けていたとは到底言えず、局面を変える大きな対応にでる可能性もあります。
■「報復の連鎖」より「偶発的な衝突」を懸念
小川キャスター:
緊張が高まる中、気がかりなのは「双方の攻撃が今後どうなっていくのか」。どういう展開があると予想されますか?
23ジャーナリスト 須賀川拓 記者:
今まさに中継でもありましたが、ボールはイスラエル側にあるわけです。今後、当然その報復の連鎖が続く可能性はもちろんあります。
ただ「過激な行動に出るか」というのはまだわからない。仮に出なかったとしても、片方が攻撃すれば、もう片方も攻撃をせざる得ない状況が生まれてしまいます。そこで懸念されるのは「報復の連鎖」より「偶発的な衝突」、要するに“ボタンの掛け違い”、想定外の被害がどちらかに出てしまうことです。
藤森祥平キャスター:
「偶発的な衝突」の例をみてみます。
【1988年】
イラン・イラク戦争の緊張が高まる中、アメリカ軍がイランの旅客機を誤って撃墜、これにより乗客乗員290人が死亡。
【2020年】
イランとアメリカの軍事的な緊張が非常に高まる中、イランが他国の旅客機を誤って撃墜、乗客乗員176人が死亡。
こうした例があります。
須賀川記者:
これらは、今の緊張とは全く別の事例ではありますが、周辺で高まっていた緊張が、こういったことに繋がってしまった。このときは、ここからエスカレーションしませんでしたが、今は極度…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20240416-6151328)
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