『悲報。悲報。悲報…。』

『毎日が悲報だ…。』

バイト帰りにそんなつまらない日常の出来事を思い起こしながら歩いていると

帰り道を一本間違えて曲がってしまった事に気付いた。

(まぁ…方向は同じだ。この道でも帰れる)

そう思ってとぼとぼと深夜の舗装された冷たく硬いアスファルトの感触を
やんわりと感じながら歩いていると

ふと目の前に懐かしい風景が広がった。

そこには、幼稚園から小学校まで毎日のように友達と遊んだ公園がそこにはあった。

家路を急ぐ理由もないか らなのか、その理由はわからないが

無意識で吸い込まれるように公園に立ち入った俺は、

気付くと公園の入り口を入ったところで立ちすくんでいた。

俺は、幼い頃の記憶を思い出しながら近くにあったブランコにそっと腰を下ろした…。

座ったままゆっくりとブランコを漕いで懐かしさに浸っていると

『あっ…やっちゃん…じゃない?』  

突然の声かけに俺は驚きよりも、どこか懐かしく暖かいものを感じ取った。

そして、条件反射でくるりと振り向くとそこには、
自分と同じ歳ぐらいの中年女性が立っていた。

ハッキリ言って全く見覚えが無い。

俺は、とっさに思った。

(きっと昔の同級生だろう…)

(面影が全く無くても不思議じゃないよな。)

しかし、同級生という確信が無いまま返答するのもどうかと思い
ここは正直に誰なのか聞いてみようと思ったのだ。

『すいません…失礼だよーんがどなただよーんか?』

俺は、確実にこう言葉を発したはずだった。

でも、実際に発した言葉は…

『おばあちゃん…。』

そう、そこにはだいぶ前に亡くなったはずのおばあちゃんが
自分と同じぐらいの姿形で立っていたのだった。

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