1砂漠のマスカレード ★2019/09/28(土) 08:09:22.99ID:tKLn83yo9 https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/a/0/a0290_1635_3aff6f01955a7511d79af76231b9257d.jpg

なぜ日本の女子中高生が韓国にオーディションを受けに行くのだろうか(筆者撮影)

TWICE、BTS、BLACKPINK、MOMOLAND、IZ*ONE……、韓国のアイドルグループが音楽シーンを席巻している。ヨン様から少女時代を経て第3次韓流ブームとも言われている状況を、最近になってK-POPの魅力に目覚めたというジャーナリスト安田浩一氏が解説する新連載。第1回は、ソウルで行われた韓国芸能事務所のオーディションの様子をお伝えする。

小学生のときに「TWICE」の虜になった
ステージの中央に進み出ると、正面を見据えた。まだ幼さの残る顔に、不安とおびえの色が浮かんでいる。ふう、とまずは深呼吸。

目の前に並んで座っているのは、韓国芸能事務所のスカウトたちだ。緊張するのも無理はない。生まれて初めて、オーディションの舞台に立ったのだ。

「アンニョンハセヨ」(こんにちは)

震えるような声だった、覚えたての韓国語であいさつしたのは、ここで成功したいという彼女の覚悟でもあった。

ユウキさん(仮名、12歳)。東京都内に住む中学1年生だ。

夏休みを利用して韓国を訪ねたのは、ソウルで開かれたK−POPオーディションに参加するためだった。

2年前、小学生だったときにテレビで韓国のアイドルグループ・TWICEを"発見"した。以来、K−POPの虜(とりこ)になった。

「かっこいいなあと思いました。日本のアイドルグループとはまるで違って見えました」

洗練されたダンスに憧れた。動画サイトを繰り返し見ながら、振り付けを真似た。韓国語の歌詞も覚えた。
そこまでは、どこにでもいる"Kポペン"(K−POPファンを意味する韓国語による俗称)の1人にすぎなかった。
そのうち、「ペン」(ファン)であり続けるだけでは満足できなくなった。単なる憧れが飛躍した。

「私もK−POPアイドルになりたいと思うようになったんです」

近所のダンス教室に通った。2年近く、みっちりとレッスンを重ねた。そしてネットで情報収集し、このオーディションを知った。
ツアー形式で、最終日に設定されたオーディションまでは、ダンスレッスンや韓国語講座、文化体験も組み込まれていた。

初めての韓国。初めてのオーディション。不安と緊張でガチガチになりながら、この日、ユウキさんは10数社のスカウトの前で、歌唱とダンスを披露した。

わずか1分間の審査である。こわばった気持ちを振り払うように、力強くステップを踏んだ。俊敏で、しなやかな身のこなしだった。
スカウトたちはスマホやビデオカメラで、その動きを追う。

踊り終えて息も絶え絶えのユウキさんに、声をかけた。

──うまくできましたか?

歌やダンスを精察する能力も、ましてやK−POPの知識も持たない私には、その程度の言葉しか出てこない。

ユウキさんはようやく緊張が解けたのか、「エヘッ」と照れたように笑った。

「自分では精いっぱい踊りました。どうだったのかなあ。上手な人がたくさんいるから、あまり自信ないかも……」

ステージ上とは打って変わり、顔には中学1年生の素の表情が浮かんでいた。
そこにはスカウトの前で大きなミスもなくやり切ったという自信と、もっとうまくできたかもしれないという小さな後悔が同居していた。

「でも」とユウキさんは続ける。

「今回がダメでも、何度でも挑戦します」

決意をにじませ、挑むような目つきが印象的だった。

https://news.livedoor.com/article/detail/17149372/
2019年9月28日 5時50分 東洋経済オンライン

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